熊谷家住宅(大田市)概要: 熊谷家住宅は島根県大田市大森町に屋敷を構えている古民家です。 熊谷家は17世紀から石見銀山の経営に携わった旧家で、18世紀に設けられた6軒の郷宿(公用で石見銀山や代官所などに訪れた村役人が宿泊や休息で利用した施設)の1つとなりました。郷宿は宝暦3年(1753)に大田組の組中手賄、久利組の田儀屋清六、佐摩組の岡田屋嘉平太、九日市組の田村屋藤三郎、大家組の京屋元五郎、波積組の泉屋甚右衛門の6組6軒で構成されていましたが、文政6年(1823)に当時の当主である熊谷三九郎が久利組・津茂五ヶ所の郷宿株を継承し名前を田儀屋清六に改めています。豪商としても繁栄し代官所の御用商人や金融業などで財を成し町役人(年寄)や掛屋(年貢として納めた銀を吟味する役職)などの要職も歴任しています。
熊谷家住宅の建物は寛政12年(1800)の大森大火後直後の享和元年(1801)に再建されたもので、主屋は木造2階建、入母屋(片側切妻)、桟瓦葺、平入、塗屋造、白漆喰仕上げ、内部には玄関、奥乃間、次ノ間、座敷、仏間、居間、茶室、座敷蔵、土間、台所、勘定場などがありました。
熊谷家住宅(主屋・北道具蔵:土造2階、切妻、桟瓦葺・小蔵:土造平屋建、切妻、桟瓦葺・衣装蔵:土造2階建、切妻、桟瓦葺・東道具蔵:土造2階建、切妻、桟瓦葺・米蔵雑蔵・土地・土塀・井戸・手水鉢・納屋)は江戸時代後期に建てられた豪商町屋建築の遺構として大変貴重な存在で平成10年(1998)に国指定重要文化財に指定されています。
熊谷家住宅:上空画像
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