温泉津温泉(大田市)概要: 温泉津温泉の開湯は不詳ですが平安時代の承平年間(931〜938年)には既に知られた存在だったとされます。
伝承によると1人の旅僧がこの地を訪れた際、傷を負った狸が池に浸かり傷を癒していました。旅僧は不思議に思い、池に手を浸すと温かい温泉だったことから浦浜の住民にその話をし広く知られるようになったと伝えられています。
観応から文和(1350〜1355年)の頃、伊藤重佐と名乗る修行僧がこの地を訪れた際、改めて洞穴を開き温泉場を開発、薬師堂を創建すると共に温泉場も広く民衆に開放した為、多くの人達が利用するようになります。
大永6年(1526)、石見銀山が本格的に開発されるとその外港として飛躍的に重要性が増し、銀の積み出しや物資補給港として賑わいます。元湯を開発した伊藤家の後裔は毛利氏から湯守に取り立てられ、毛利家家臣だった内藤家は土着して庄屋や村役人を歴任し温泉津で大きな影響力を持ちました。
江戸時代に入ると全国的にも知られるようになり北は東北、南は九州から湯治に訪れ、「一郷、温泉を頼みて生活を為す、斯く民、天公の恵みを知らず」と言われました。
明治5年(1872)の浜田地震により、源泉が開発された薬師湯は日本温泉協会の新基準で山陰地方唯一全て項目で「5」の評価を得た名湯とされます。温泉津温泉元湯の泉質は含土類食塩泉。薬師湯の泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉。
又、温泉津温泉の温泉街は古くからの町並みが現在でも色濃く残り平成16年に重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
温泉津温泉:上空画像
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